- 会計について学びたいけど、なかなか頭に入ってこない
- 会計をストーリー仕立てで学びたい
- 会計のそれぞれのルールが何のために存在しているかの「背景」「本質」について知りたい
- 財務会計と管理会計の違いも分からない
あなたもこのように思ったことはないでしょうか。
この記事を読むと、これらの悩みを解決してくれるのに打ってつけの本である「会計の世界史」がどんな本なのか、なぜオススメなのかがわかります。
この記事を書いているぼくは、元々銀行員で、今もファイナンス関連の業務にも従事していますが、今まで暗記のようなかたちで「点」で理解していた会計が、この本を読み、その歴史的背景とともに「ストーリー」で理解することができるようになりました。
是非あなたも、一見とっつきにくい「会計」について、歴史のマンガ本を読むような感覚で楽しく学んでいただければと思います!
Contents
目次
まずは、この本の構成を見るべく、目次からご紹介させていただきます。
第1部 簿記と会社の誕生
・15世紀イタリア 銀行革命
・15世紀イタリア 簿記革命
・17世紀オランダ 会社革命
第2部 財務会計の歴史
・19世紀イギリス 利益革命
・20世紀アメリカ 投資家革命
・21世紀グローバル 国際革命
第3部 管理会計とファイナンス
・19世紀アメリカ 標準革命
・20世紀アメリカ 管理革命
・21世紀アメリカ 価値革命
このように一見、会計の本なのか、歴史の本なのか分からないような構成になっていますが、ここがミソです。
この本では、学問としては少々難解な会計をわかりやすく解説するために、
その時々の歴史上の人物(ダ・ヴィンチ、JFK、ビートルズ等)の人生や、彼らのあまり知られていないエピソード等を振り返りながら、大きな時代の流れを説明してくれつつ、それらを「会計の変遷」と紐づけて説明してくれます。
そういう意味で、本書はこれまでの会計本とは一線を画し、「楽しく、わかりやすく、ついでに歴史上の偉人の人生」についても学べる最高の1冊となっています。
ハイライト箇所(ここだけ読めば雰囲気がわかる!)
この本を詳細に説明していくと、結構な文字数となってしまうため、ぼくが本書を読んでハイライトした箇所をいくつか引用・要約するかたちで、あなたにもご紹介できればと思います。
お時間がない方でも、ここを読むだけで本書のエッセンスは学んで頂けます。
これを見て、少しでも興味が沸いた方、お仕事で会計・財務に少しでも関係する方などは、是非本書を手に取って頂き、その世界観を楽しんで頂けたらと思います!
ヨーロッパの東方貿易のうち、海路は海賊が多く出没することから危険だった。この危険を承知でこぎ出す勇敢な船乗りリズカーレが、やがて「勇気ある者」の意味で用いられ、さらに転じて「リスク」という言葉になった。
東方貿易で派手に儲けるヴェネツィア商人は、常に盗賊に襲われる心配があった。そこでこの心配を減らすべく、イタリアのバンコ(Banco=銀行)が「商業手形」取引を開始し、「キャッシュレス」にすることで、現金が盗まれないようにした。
Bancoは机の意味。銀行員(Banker)は、もともと「机の上で客と金のやり取りをする者」だった。
商人が一つの店で、自分の手金だけで商売するのであれば、詳しい帳簿などはいらないかもしれないが、イタリア商人とバンコが商売を成功させ、規模が大きくなったからこそ、「記録をつける」必要性が生まれた。これが「簿記」のはじまり。
家族や仲間以外の「ストレンジャー株主」が出資者として入ってくると、家族経営とは違い、経営の仕組みが大きく変わる。「所有と経営が分離」された環境のもと、彼らは「儲け」を望んで投資してくる。そんな彼らを満足させるためには、①事業の儲けをきちんと計算すること、②儲けの相当分を出資比率に応じて分配すること、が重要になる。
株主の配当の要求に応えるために、鉄道会社は蒸気機関車を作るのにかかる巨額な支出を全額「支出した期」に負担させるのではなく、そこから数年かけて費用化する「減価償却」を用いた。これにより、巨額な固定資産投資しても「儲け=利益」が出やすくなり、配当できるようになった。
19世紀末、イギリスの投資マネーがアメリカに向かうようになると、アメリカにある投資先の会社の経営チェックが必要になる。そこでイギリスの主な会計事務所はボストンやNYに事務所を開設するようになった。これが現在のデロイト、PWC、KPMGといったビッグファームである。
1888年にジョセフ・パトリック・ケネディ(JFKの父)はアイリッシュの移民3世として生まれる。アイリッシュではなく、「アメリカ人」としての活躍を期待する良心は、カトリックの上級学校ではなく、ボストンのラテン大学に通わせる。成績は芳しくなかったが、政治家だった父親のゴリ押し(?)もあって、ハーバード大学に入学。
20世紀に入り「経営分析」が誕生。例えば、流動比率は200%以上が望ましいと言われるが、これは決算書が信用できなかった時代に、「たとえ嘘が混じっていても200%あれば大丈夫だろう」という、「人を信用しない」時代の名残。
(本書より引用・抜粋)
ちなみに会計と全然関係ありませんが、お酒のハイボールの名前の由来のエピソードも面白かったです。
↓
鉄道事故を防ぐためにイギリスの鉄道ではお馴染み「赤と青の信号機」が誕生ました。これ以前のグレート・ウェスタン鉄道では、「ボール型の信号機」が使われています。
ボールが上部にあれば「進め」を示すボール型信号機はアメリカにも広がりました。
ハイ・ボール=出発進行の合図は、「さあ飲もう!」の掛け声と共に飲まれるウィスキーのソーダ割りの名称にもなっています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
いわゆる一般的な会計本とはまったく違う性質の本だということがお分かり頂けたかと思います。
- 「会計を今から勉強していきたい」という会計初心者の方
- 知識としての会計は理解しているけれども、その成り立ちや変遷の背景は知らないという方
- 会計について楽しく学びたいという方
この本はこれらすべての方の思いを解決してくれる最高の1冊となっておりますので、少しでもご興味が沸いた方は、是非一度本書を手に取っていただければと思います。
みなさんのご参考になりましたら幸いです。
それでは!
Good luck!
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